活動実績
2021/04/01
2021年度 第1回オンライン定時総会+2月度例会(vol2)
学べるポイント
2021年度、第一回オンライン定時総会と同時に、2月度例会が開催されました。
今回の例会では社会福祉法人「千成会グループ」施設長、八城 紀恵氏に「理念が拓く、未来の扉」というテーマでご講演いただきました。
委員長が理念で例会をやるのであれば、と考えたときにすぐに八城氏の名前が出てきたということで、委員長の非常に熱い意気込みが感じられる宣言でした!
開会宣言、「理念、目的、誓い」の唱和の後、総会に引き続き会長による挨拶へ。
講師紹介
理念委員会、中農(なかの)副委員長による講師紹介。
八城講師は、より現場に近い経営幹部として理念経営を支えている。
講演スタート
経営幹部だからこそできる理念の浸透という目線でのお話をいただきました。
経営理念について
私たちはご幸齢者と共にあり
幸せ、生きがいを共有します
創業の精神から生まれた経営理念。
施設に入ったら多くのことを我慢するというが人生の終焉に望まれる姿なんだろうか、最後まで自分らしく生きるためのお手伝いをご利用者様に提供することで、生きてきてよかったと思っていただきたい。という念いから理念が生まれた。
日創研での学び
入社から可能思考を受け、どんな研修を受けても理念の重要性を何度も教えられた。
2回目の理念塾のときに副施設長に任命されたことで、スタッフと共にご利用者様に対してどのように向き合っていくのかを真剣に考えた。
講師の歴史
採用面接では3時間もの長時間の面接であった。その時に出会ったのが元理事長の前田氏。
採用され、翌年3月に入社するも2ヶ月で退職届を書く、が出せなかった。
当時の前田理事長はとても厳しい方で、非常に苦しい思いをしていたとのこと。
しかし、辞める前に「研修にいかないか?」と言われSA研修を受講。
研修の言葉が理事長からの言葉に思え、いままで理解できなかった理事長を理解できるようになった。そこから多くの研修を受け、21TTに参加。過去の人生と向き合い、自身の使命に気付くことができ、そこが人生の分岐点となった。
命への想いにさらに『襷』という言葉を加え、ご利用者様だけではなく、その家族も支えること、そして今いるご利用者様を一緒に見送るスタッフを支えること、つまり人材育成こそが自分の大きな仕事だと気付いた。
講師にとっての人材育成
幸せになる、そして幸せにできる自分になる。
これが人材育成の大義であり目的。
過去だけは自分の持つ意味づけを変えることができるとしたら、過去さえも変えることはできる。
スタッフも多くの過去を背負って生きている。そこに自信を失ってしまい、伸びやかに生きられないスタッフもたくさんいる。一緒に学んで、一緒に考えながら自信をもって一歩を踏み出していける人財になってもらうことが自分の人財育成の目的になっている。
志を磨いて経営理念を明文化する
もともとは母校の生徒指針を経営理念としていたが、自分ごとにはなっておらず、綺麗事だとやめていくスタッフも多くいた。
その後、経営理念塾に参加し、スタッフとともに理念委員会を作成した。
スタッフからの多くの意見をもらい理念を作成していくにつれ、理念は浸透させるものではなく、共感してもらうためのものだと気付いた。
そして出来上がった経営ビジョン
「福祉村の創設」。
施設に入ったから社会から離れるのではなく、法人が地域の中で、学校や医療、保育などすべてが繋がっている村。
そして、千成会に親を預けることが親孝行だと思われる施設。
働いているスタッフがいずれは自分もここでお世話になりたいと言われる施設。
そんな施設にしていきたいと語る八城講師。
幹部が行う理念浸透
理念の掲示、朝礼での昌和などは行っているが、一番重要なのは幹部の力。
経営理念は理想の想い、そうであるからこそトップの人間が躊躇してしまうことがある。経営幹部だからこそ、社長の考え方を一番近くで見てきたからこそ伝えられるのではないか。
経営幹部が社長の代弁者として想いを伝えるようになったとき、組織が強くなったと感じる。経営幹部の方は率先して思いを伝えていってほしいと思っている。
人事理念
人としての成長を追求している。
人の役に立つ、チームを最優先に、そして職場を通して自己成長に徹するということを理念に掲げている。
理念経営の結果
業績にも大きく効果がでていたが、それよりも大きく変化があったのが「離職率」だったとのこと。八城講師がTT研修を受け始めた頃が最も離職率が高かったが、それから多くを学び、理念塾を受け、理念を浸透していった結果、離職率が約4分の1程度にまで下がった。
また、意識改革が起こりやり方が変わり、スタッフさんが自主的に新たなサービスを考えるようになった。
何もしなくても勝手に情報を集めてきてやることを承認するだけにまでなった。
最後に
介護が天職だと言ってくれるスタッフが何人もいる、そういったスタッフをこれからも育成するために、自分自身も学び続けていきたい。
理念の重要性、経営幹部として伝えていける経営理念の内容、これからも突き詰めていきたい、と語り講演の締めの言葉となりました。
質疑応答
目に涙を浮かべ自分の生き方を考えさせられたとと磯副委員。
質問は、
Q「理念委員会を発足し、従業員が自発的に意見を出してくれる社風はどのようにつくっていったのか?」
A「一隻一丁には行かない、理念委員会に選ばれた趣旨、目的をしっかりと伝えること」
続いて田中委員長。
Q「業界として目標値を数字に置き換える時、どのように伝えるのか?」
A「利用者がお金に見える話はやはり嫌う、たとえばご利用者様の口の中をよくしていくことで加算されるという仕組みがある。それはご利用者様のための数字である。またお金を稼ぐということはいやらしいことでも汚いことでもない、ということを伝えることを徹底している」
Q「理念を通してスタッフから出てくるアイデアを吸い上げ、具現化する仕組みはありますか?」
A「SGA(PSV)などの研修に参加したあと、ビジョンを持って帰ってくる。そこからそのアイデアをどうすれば実現できるのか?という質問を繰り返し、共に具現化させていく。」
鷹羽副委員長。
Q「スタッフとの面談で気をつけていること」
A「目標設定型の面談であり、愚痴を吐き出す場所ではないと最初に伝えることで目標をもって仕事をしてもらえるようになり、愚痴も減った」
Q「毎日の会話の中で理念浸透で気をつけていることは?」
A「毎日の会話では理念については語らず、日常会話にすることに気をくばり、メリハリをつけている」
徳永委員長。
Q「理念を共感してもらうなかで失敗したことや壁があったと思いますが、どのようにそのそれを乗り越えてこられましたか?」
A「学ぶことでしか自分の人生を切り替えていくことができないと身をもって経験した。自分にとって過去の認識を切り替えられたことは本当に幸せなことであった。その出会いを頂けた理事長のために、そして同じようにスタッフにも同じように幸せになってもらいたい。そのために乗り越えなくてはならないと思っている。」
最後は中野委員長。
Q「理念や価値観に共感していただいてから入社していただくようにしているが、入社後に手のひらを返す方もいらっしゃるが、同じようなことはありますか?また、そんなときはどうされてますか?」
A「採用の基準は大切にしている。理念の説明、社内の取り組みの説明、研修の説明などをしている。それでも同じように入社後に変貌するスタッフはいる。日創研のTA研修を自社でおこないしっかりと向き合い、そこで切り替えられる場合が多いが、それでも合わない方は仕方がない。」
包み隠さず、ご回答いただきまして本当にありがとうございました!
謝辞・記念品の贈呈
室田副会長による謝辞ののち、例会終了いたしました。
例会終了後の終礼
終礼では感じたこと、学んだことを新入会員のお二人を加えた数名に伺いました。
やはり、インプットのあと、自信の考えをアウトプットすること、そして他の方の意見を聞くことでさらに学びが深くなると改めて感じました。共に学ぶということは大事ですね。
理念経営について、本当に多くの学びがあった例会だったと思います。
幹部であるにもかかわらず非常に素敵な人格をもち、理念を体現されている八城講師のお話を伺い、文脈だけではなくその念いの高さに感動された方も多かったのではないでしょうか?
開催企画していただいた理念委員会の皆様、本当にありがとうござました。